◇大津の北村さんが写真冊子

瀬田川下流の天ヶ瀬ダム(京都府宇治市)が完成した1964年(昭和39年)前後の川流域を当時の写真など約40点で振り返る冊子「懐かしの瀬田川写真 河川と暮らした地域の記憶」ができた。今ではもう見られなくなった風景や人々の暮らしぶり、思い出が詰まっている。大津市黒津のウォーターステーション琵琶で無料配布している。(生田ちひろ)

 ◇昭和40年代中心 ダムに沈んだ 名所や建物

 冊子を作ったのは同市大石龍門の博物館イベントプランナー北村美香さん(43)。3年前から、河川の魅力を周辺住民と考える国土交通省琵琶湖河川事務所の「琵琶湖河川レンジャー」として活動するなかで、「河川にまつわる地域の記憶の掘り起こし」をテーマに、瀬田川などの昔の写真を探し、住民を訪ね歩いて思い出話を聞き取ってきた。

 瀬田川では天ヶ瀬ダムの完成で水位が上昇するため、同市石山外畑町といった近隣集落の一部が高地へ移転するなどし、流域の風景は大きく変わった。

 冊子では約10人から借り受けた昭和40年代の写真を中心に紹介。冒頭には川面から出た枝先に最後の花を付ける桜並木の写真3枚が並ぶ。ダムの完成直後とみられる。住民のアルバムをそのまま転載しており、書き添えた「沈みゆく最後の桜 もう咲かないだろう」という一文も残る。

 多いのは当時、外畑町―天ヶ瀬ダム間を航行していた遊覧船に関するものだ。水没するなどして今は見ることができない川沿いに切り立った「屏風びょうぶ岩」や、何匹ものタヌキがいたことから「タヌキ御殿」と呼ばれた建物など、船から撮影した名所や遊覧船、船乗り場などの写真がにぎわいを伝える。

 ほかに川で魚を捕まえる子どもたちなど、当時の暮らしぶりがうかがえる写真も。「昔は夏の子どもの遊び場は川やった」「近所に船員さんが多かった」「川の水は、今と違ってきれいやったよ。船からのぞいたら、魚が泳いでいるのが見えたくらい」といった北村さんが聞き取りをした住民たちの言葉も興味深い。

 北村さんは「写真は思い出をたどり、会話のきっかけにもなるはず。往時に思いをはせてもらえれば」と話している。

 A5判10ページ。問い合わせはレンジャー事務局のウォーターステーション琵琶(077・536・3520)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です