悩んだ時間 今では宝物

◇不登校体験を伝える造形作家 末富 晶さん 

2017年8月まで約4年間、高島市社会福祉協議会の広報誌「しふくのふくし」に「私の不登校記」を連載した。不登校が始まった小学3年から成人するまでの自身の歩みを振り返り、「今は宝物に思える時間」と表現している。

 だが、そう思えるようになるまでには、多くの時間とさまざまな人との出会いが必要だった。

 「みんながバスに乗って先に行くのに、自分だけ途中下車して、野原に置き去りになった気分。この先、道は真っ暗になってしまうのでは、と、最初は不安に押しつぶされそうでした」

 不登校になったきっかけは、思い出せない。学校でいじめやトラブルがあったわけではない。登校前になると、発熱し、時には頭痛や腹痛も伴った。体が拒否したのだ。

 「学校は息苦しかった。学校の暗黙のルールに自分を合わせていると、本当の自分がなくなっていくような気がした」と振り返る。

 慰めは、同居する祖父母が受け入れてくれたことだった。やがて、同じ不登校の友達と近所の森で遊ぶ機会が増えた。小学5年のときには、その友達の家で偶然、生け花の先生に出会い、物事に真剣に向き合うことを教わった。

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